6.住み替えの決済と引き渡しは猶予期間と引っ越しがカギ

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売買契約が終われば、しばらく日数を空けて、売却代金全額の決済と引き渡しを行います。

決済では、売買契約時に受け取った手付金をのぞいた売却代金を受け取ります。それを住宅ローン返済に充てたり、新居の購入費用にしたりします。

部屋の引き渡しも基本的には同じ日に行いますが、引っ越しや新居の契約のために引渡し猶予をつけて数日遅らせることもあります。

慣れていない手続きになると思いますので、決済当日の流れを確認しておきましょう。

決済と引き渡しの流れ

決済は売買契約から2週間から1ヶ月空けた平日の午前中に行うケースが一般的です。また手続きの都合上、買主が住宅ローンを借りる銀行の一室で進めていきます。

関係者は、あなた、不動産会社の担当、買主、買主側の不動産会社の担当、司法書士、銀行員の最低6名が集まります。

決済と引き渡し当日のスケジュール
  • STEP.1
    司法書士による登記書類の確認
    所有権移転登記、抵当権抹消登記のための書類が揃っているか司法書士の方が確認します。登記ができないとその日に売買が成り立ちません。
  • STEP.2
    買主の住宅ローン融資実行
    買主があなたの中古マンションを買うためのお金を借ります。買主の口座に入金されます。
  • STEP.3
    買主からあなたの口座への売却代金の振り込み
    中古マンション売却代金を振り込んでもらいます。手付金は売買契約のときに受け取っているのでその金額を除いた額です。
  • STEP.4
    あなたの住宅ローン残債の一括繰り上げ返済
    買主から振り込まれたお金で住宅ローンを完済します。足りなければ預貯金で補完しなければいけません。
  • STEP.5
    固定資産税・都市計画税や管理費、修繕積立金の精算
    決済の日の前日までがあなた負担、当日以降は買主負担で日割り精算するのが一般的です。固定資産税は1月1日時点の所有者に請求が来るため、あなたが一度は全額払わなければいけませんが、ちゃんとここで精算するので安心してください。
  • STEP.6
    マンションの鍵や管理規約、各種取扱説明書の引き渡し
    鍵は一本でも足りないと取り替え費用を負担しなければいけないので、スペアキーも含めてすべて揃えておきましょう。遠方の両親に預けていないか要注意です。マンション関係で持っている書類も渡します。

    ※引渡し猶予をしてもらう場合は鍵はまだ渡しません。

  • STEP.7
    買主から引き渡し確認書を受け取る
    これで部屋の引き渡しが終わったという書類です。
  • STEP.8
    不動産会社への仲介手数料支払い
    「売却金額の3%+6万円」に消費税を乗せた仲介手数料を不動産会社に支払って売却手続き完了です。

 決済までに準備しておくこと

売買契約を結んでから決済までに準備をしっかりしておきましょう。住み替えをスムーズに進めるために一つのミスもないようにしたいところです。

引っ越しの手配

決済と引き渡しが同日でも、引渡し猶予がある場合でも、引っ越しの手配は早めにしましょう。

特に2月3月4月の繁忙期には大手引っ越し業者は、希望どおりの日を予約するのが困難なこともあります。

もし引っ越しが遅れて予定どおり引き渡しができないと、買主の損害を負担しなければならない可能性もあります。

引っ越し後は部屋が完全に空になるように、不要なものはゴミとして忘れず処分してください。エアコンや照明、ガスコンロも残置物扱いされる可能性があるので、契約に書かれていないものは置いていかないようにしましょう。

また、常識の範囲で引き渡し前に掃除もしておきます。ハウスクリーニングまでは必要ありません。

各所に連絡を忘れずに行う

決済前には各種契約の解約やマンション売却の旨の連絡を忘れずに行いましょう。不動産会社が代行してやってくれる場合もあるので、担当に相談してから動いてください。

  • 銀行(マンション売却と残代金繰り上げ返済の連絡)
  • 管理組合、管理会社(マンション売却での所有者変更と管理費や修繕積立金の引き落とし停止の連絡)
  • 水道、ガス、電気、電話、インターネット回線の解約・引っ越し

必要書類などを準備する

決済と引き渡しで必要になるものを準備します。不動産会社の担当に指示されたものを基本として、以下を参考に用意してください。

  • 付属設備の取扱説明書(マニュアル)と保証書
  • マンションの図面
  • 鍵の準備(スペアキーなどを親や子どもに預けていないか要注意、不足があれば鍵交換が必要になる)
  • 実印と印鑑証明書
  • 通帳と銀行印
  • 運転免許証などの写真付き身分証明書
  • マンションの登記識別情報通知書(権利書)
  • 固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金の日割り精算の準備
  • マンションの管理規約(マンション理事会への売却の連絡も)
  • マンション購入時のパンフレット(持っていれば渡した方がベター)

決済での登記は2種類

決済と引き渡しの場面では、所有権移転登記抵当権抹消登記の2種類の不動産登記が必要になります。

立ち会った司法書士にすべて委任して、当日中に法務局で手続きを終わらせてもらいます。

所有権移転登記

マンションを売主のものから買主のものにするため、所有権移転登記を行います。

登記識別情報通知書(いわゆる不動産の権利書)がないとできないため、間違いなく用意しておきましょう。

所有権移転登記の費用は買主が負担してくれます。

抵当権抹消登記

中古マンション売却前には住宅ローンを完済して、マンションについた抵当権を外すために抵当権抹消登記が必要です。

抵当権抹消に必要な書類は住宅ローンを完済してはじめて銀行から受け取れるものもあるので、予め住宅ローンを借りていた銀行に連絡を入れておく必要があります。

抵当権抹消登記の費用は、売主のあなたが司法書士へ支払います。売主に関係する手続きなので費用負担は売主なのです。

司法書士の費用相場は依頼する人にもよりますが、登録免許税も含めて2万円以内には収まるでしょう。あまりに高額なら内訳を聞いて、司法書士の報酬が高すぎないか確認してください。

売り先行の決済・引き渡しの注意点

先にマンション売却を終わらせてから一戸建て購入をする売り先行の場合、決済までに仮住まいに引っ越しておきましょう。決済当日に引き渡しが行えるのでスムーズです。

余った売却代金を予算に入れて、仮住まいから新居探しを進めていきましょう。

売り先行で引っ越しが2回になってしまうのは痛手ですが、じっくり予算と向き合って新居を探せるのはメリットです。

仮住まいが狭い場合、大きな荷物を預かってくれるトランクルームサービスがある引っ越し業者もあるので、必要なら依頼しましょう。

レンタルコンテナのようなトランクルームを別で借りてもいいでしょう。月額1万円程度でけっこうな広さを契約できます。

またもし新居購入が予定より早く決まって決済と引き渡しに間に合いそうなら、引渡し猶予をお願いできないか相談してみるのもアリです。決済後に数日住ませてもらって、その間に新居の支払いをして引っ越します。引っ越し回数を減らせるので節約できます。

買い先行の場合

先に新居を購入して引っ越してからマンション売却をする買い先行では、決済と引き渡しは同日でまったく問題ありません。なるべく早めに引き渡しをした方が、日割り精算する費用がお得です。

買主も早く引っ越したいと考えるので、お互いメリットがあります。

またマンション売却で必要な書類や物品が、新居への引っ越しで行方不明にならないように気をつけておきましょう。

マンションにモノが残っていると残置物として問題になるので、新居に必要ないものはゴミとして引っ越しのタイミングで捨てるようにしてください。

売り買い同時進行の場合

売り買い同時進行では、必ず引渡し猶予の特約を利用して、決済と引き渡しの日を分離しましょう。

住宅ローン残高が多くて住み替えローンを使う場合は、マンション売却の決済と新居の購入決済を同日に行わなければなりません。マンション売却のための準備と合わせて、一戸建て購入のための準備もしっかり行いましょう。

住み替えローン利用の場合、両方の決済を同じ日に行ってから、引渡し猶予期間中に新居への引っ越しを終わらせます。

また、住み替えローンを使わずに新居購入をする場合、引渡し猶予期間中に新居購入の決済と引っ越しを進めます。

手続きが増えて大変なので、マンション売却と一戸建て購入の不動産会社を同じ会社にしておきたいところです。

印鑑証明書など2通以上必要になるものがないか、十分に確認しておいてください。

決済前にキャンセルが発生したら

もし売買契約から決済の間に買主がキャンセルした場合、売り買い同時進行が一番ダメージが大きいでしょう。

3パターンの住み替え方法のどれでも、キャンセルされたら手付金がまるまるもらえるのでその点はプラスです。

しかし、また買主募集を再開しなければならないのは大変です。

買い先行の住み替えでは、再スタートするために売却期間が長引きます。

売り先行の住み替えでは売却期間が長引くほかに、もし仮住まいに引っ越していたら、住宅費が二重にかかってしまいます。その費用はキャンセルした買主に請求できる可能性がありますが、かなりの手間です。

売り買い同時進行では、マンション売却のキャンセルがあれば一戸建て購入もキャンセルできる買い替え特約を付けているので、住み替えがいったん白紙になります。注文住宅でキャンセルができない場合などは、不動産会社の買取を利用することになるかもしれません。

どのケースでも引っ越しの手配を進めていてキャンセル料がかかるなど不利益が発生するなら、その損害はキャンセルした買主に請求できる可能性があります。

編集後記

住み替えは決済と引き渡しでやることが多く大変です。

短期間で契約や引っ越しを行う必要があるため、休みを取りやすい時期を狙って進めていく方がいいでしょう。

銀行と連携して進める必要があるので、不動産会社の担当としっかり打ち合わせて、連絡漏れがないように注意してください。

住み替えが終わったら、翌年に確定申告をします。住み替えで利用できる税金の特例をどう使うか計算して決めていきます。

7.住み替えで使える税金の特例を知って確定申告に備える

7.住み替えで使える税金の特例を知って確定申告に備える
住み替えのマンション売却にかかる税金に使える特例がいくつかあります。黒字の場合には3000万円の特別控除を使うか住宅ローン控除を使うかを選ばなければなりません。併用できないのでどちらが減税になるか計算します。赤字の場合には所得税や住民税と通算して減税を受けられ、さらに住宅ローン控除も併用できます。税理士さんに依頼してどれを利用するのが得になるのか計算してもらうと安心です。
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