7.住み替えで使える税金の特例を知って確定申告に備える

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住み替えでのマンション売却が終わったら、翌年に確定申告をする必要があります。

売却益に対しては3000万円の特別控除が使えるケースがほとんどなので、税金はかかりません。しかし、この特例を使うと新居の住宅ローン控除が使えなくなるので、どちらが得か判断して選びます。

また売却損があれば、所得税や住民税と通算して税金の還付を受けることも可能です。

特例の適用を受けるために確定申告を忘れずに行いましょう。

住み替えで利用できる特例もあります。

黒字と赤字のパターンで分けて考えましょう。

税制は変更される可能性があるので、適用できそうな特例などは参考として掲載している国税庁のページを自分の眼で確認するようにしてください。

住み替え後の確定申告は必須

住み替えでマンション売却と一戸建て購入が終わったら、確定申告をしてどの特例を利用するか決めましょう。

売却益にかかる税金を減らす特例や、売却損を所得税還付に通算できる特例があります。

またこれらの特例には住宅ローンと併用できないものもあるので、あなたにとってどれがいちばんお得か計算して判断していきましょう。

いずれの場合も確定申告を行うのが必須です。

マンション売却後には必ず確定申告をすると覚えておきましょう。

いつどこで確定申告をするか?→売却翌年の2月16日~3月15日に最寄りの税務署か確定申告コーナーで

確定申告の時期は毎年決まっています。2019年中のマンション売却なら、2020年の2月16日~3月15日に確定申告を行います。

確定申告の場所は、1月1日に住民票のある住所地の管轄の税務署です。確定申告の時期には専用の出張コーナーが設けられる自治体もあるので、訪問前によく調べておきましょう。

確定申告は税理士に依頼する方が安心

確定申告作業は税理士に依頼すれば、丸投げでやってもらえます。難しい書類に悩むことも混み合っている確定申告コーナーに出向く必要もありません。

また不動産売却特有の複雑な特例の利用も税理士さんなら慣れたものです。

10万円から20万円ほどの費用がかかってしまいますが、それ以上に節約になる可能性もあります。

もし自分で確定申告をするなら、このページの内容 + 国税庁の情報をしっかり理解できるまで読んで、税務署の確定申告相談に何度か通う覚悟が必要です。

参考)

マンション売却の確定申告時の計算方法

マンション売却後の確定申告では、以下の計算式で損益を出します。

譲渡所得 = 売却代金 - (取得費 + 譲渡費用) - 特例による控除

売却代金はそのままなので、経費として差し引ける取得費譲渡費用の2つを解説します。また譲渡所得に掛ける税率もここで見ておきましょう。

特例による控除については、あとで説明します。

取得費

マンション売却における取得費とは、マンションを最初に購入したときの費用のことです。

そこでかかった以下のお金が経費となるわけです。

  • マンション購入代金(※減価償却が必要)
  • 購入時に支払った仲介手数料
  • 印紙代
  • 登記費用
  • 不動産取得税

参考)

No.3252 取得費となるもの|国税庁

※減価償却

マンション購入代金がそのまま取得費として経費になるわけではありません。建物部分は毎年価値が減っていくと考えて、減価償却を計算する必要があります。

計算式は、

建物の取得価格 × 0.9 × 0.015 × 経過年数 = 減価償却費相当額

となっています。

例)5000万円で購入したマンションを10年後に売ると、

5000万円 × 0.9 × 0.015 × 10年 = 675万円

となり、経費となるのは5000万円 - 675万円 = 4325万円しか経費にはなりません。

参考)

No.3261 建物の取得費の計算|国税庁

ちなみに減価償却するのは建物部分だけで土地部分はそのままです。分譲マンションでも土地に相当する部分が持分として設定されています。

販売価格は土地と建物がセットにされているので分かりにくいのですが、消費税は建物にしかかからないので、そこから逆算する方法があります。

譲渡費用

譲渡費用は今回の売却に伴って支払った費用のことです。仲介手数料が高額になっているでしょう。

  • 売却時に払った仲介手数料
  • 印紙代
  • 登記費用

参考)

No.3255 譲渡費用となるもの|国税庁

税率は5年を境に長期譲渡所得と短期譲渡所得にわかれる

譲渡所得に掛ける税率には、居住期間が5年超の長期譲渡所得と5年以下の短期譲渡所得があります。

ちなみに5年の基準は1月1日時点で判断します。例えば、2016年7月に買ったマンションは5年後の2021年7月を過ぎてもまだ短期で、2022年1月以降に売却してはじめて長期譲渡所得となります。

  • 長期譲渡所得:所得税15.315%・住民税5%合計20.315%
  • 短期譲渡所得:所得税30.63%・住民税9%合計39.63%

このようにおよそ2倍の差があります。ちなみに現在所得税部分には復興特別消費税が2.1%上乗せされています(2037年まで)。

もし年末に売却活動を行っていて5年かどうかのタイミングなら、契約日を年明けにしてもらえないか買主と交渉しましょう。

また、10年以上居住していた場合は所得税10.21%・住民税4%になる軽減税率の特例もあります。これは住宅ローン控除と併用できないので注意してください。

これらの税率を使うのは、利益が出ているとき限定です。

参考)

No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁
No.3211 短期譲渡所得の税額の計算|国税庁

【黒字】3000万円の特別控除・特定の居住用財産の買換えの特例・住宅ローン控除の3つから選ぶ

譲渡所得 = 売却代金 - (取得費 + 譲渡費用) - 特例による控除

この計算で黒字になった場合、3つの減税方法から選んで確定申告を行います。

いずれも併用ができないので、特に住み替え先の新居で住宅ローン控除を使うかどうかを慎重に判断してください。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

住んでいたマンションの売却に適用できる強力な特例が3000万円の特別控除です。

正式名称は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。

居住期間は関係なく、住んでいたマンション売却なら利用できるので、転勤でのマンション売却ならまず間違いなく適用可能です。

特例を受けるためには確定申告が必要です。譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用](PDF)という書類を添付します。

確定申告の計算で少しくらい黒字になっていても、そこから3000万円を差し引けば利益は残らないことが大半です。

「ちょっと儲かったかな」という人はこの特例で税金をゼロにするつもりで確定申告を行いましょう

しかしトータルで見れば住宅ローン控除の方が減税額が大きくなることもあるので、計算をしっかりするのが大事です。

参考)

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

利用できないパターン

以下のケースでは3000万円の特別控除は利用できないので注意してください。

  • 親子や夫婦、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などへの売却
  • 住まなくなってから3年を経過した年の12月31日までに売らなかった場合
  • 売った年の前年か前々年に3000万円の特別控除を利用している場合
  • 売った年の前年か前々年にマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例を利用している場合
  • 売った年、売った年の前年、前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けた場合

注意点

売買契約日の前日の時点で住民票に記載されている住所が売却したマンションでないと、戸籍などを提出しないといけないので要注意です。あまり早く住民票を移動させないようにしましょう

また、3000万円の特別控除を使ったら、売却した年、翌年、翌々年の3年間の家の購入には住宅ローン減税を利用できません

住み替えで購入した一戸建ての住宅ローンから、3000万円の特別控除と住宅ローン減税のどちらが得になるか計算して、利用する方を決める必要があります。

またこの控除を使っても国民健康保険料や介護保険料の計算には適用されないので、翌年の保険料は値上がりします。

特定の居住用財産の買換えの特例

特定の居住用財産の買換えの特例を利用すると、住み替えに伴うマンション売却がなかったことになり、将来に課税が延期されます。

住み替えで購入した一戸建てを売却するときに、マンション売却での利益も含めて課税されるイメージです。

特定の居住用財産の買換えの特例は、上で説明した3000万円の特別控除や住宅ローン控除と併用ができません

基本的にはマンション売却益が3000万円を超えることはないので、この特例を利用するシーンはありません。3000万円の特別控除で税金をゼロにする方を優先させてください。

どうしても保険料値上がりがつらい、3000万円以上利益が出てしまうという特殊なケースで利用を検討してみる特例です。

参考)

No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁

住宅ローン控除

上記2つの特例より住宅ローン控除を選んだ方がお得なケースもあります。

住宅ローン控除は年末時点での残高 × 1%が所得税と住民税から減税となる仕組みです。期間は10年間です。

たとえば3000万円の住宅ローンがあれば、30万円税金が安くなります。ちなみに最大控除額は40万円です(長期優良住宅など認定住宅なら最大50万円)。

所得から控除するのではなく、税額から控除するので、30万円まるまる税金が還付されます。

このケースでは10年で200万円から300万円はお得になります(年末残高によって変動します)。

もちろん支払った税金以上には還ってこないので、収入が少ない人は控除を使いきれない場合もあります。源泉徴収票や住民税の通知で納税額をチェックしてみましょう。

マンション売却の利益が少なければ、2つの特例を適用せずに譲渡利益にかかる税金を納めて、住宅ローン控除を利用する方がメリットが大きくなります。

3000万円の特例か住宅ローン控除かを税理士さんに計算してもらって、得になる方を選ぶと安心です。

参考)

No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

【赤字】マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例で減税を受ける

5年以上住んだマンションの売却でが出て住み替えをしたら、給与所得や事業所得と通算して、税金を減らせる特例が「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。

5年の基準は1月1日時点で判断するので要注意です。長期譲渡所得と同じです。例えば、2016年7月に買ったマンションは5年後の2021年7月を過ぎてもまだダメ。2022年1月以降に売却してはじめてこの特例が使えます。

ちなみに購入した一戸建てで10年以上の住宅ローンを借りていないと利用できません。

また1年で控除を使い切れない場合、最大3年繰り越して控除できます。

新居の住宅ローン控除とも併用できる強力な特例です。

住み替えでない場合のマンション売却で使える控除よりも、減税額が大きいので、住み替えの場合には積極的に利用したい特例です(「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」というものがあります)。

参考)

No.3370 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁

利用できないパターン

  • 親子や夫婦、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などへの売却
  • 住まなくなってから3年を経過した年の12月31日までに売らなかった場合
  • 売却した年の1月1日における所有期間が5年を超えていない場合
  • 合計所得額が3000万円を超える年はその年のみ適用不可
  • マイホームを売却した年の前年及び前々年に次の特例を適用している場合
    居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例
    居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除
    特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
    特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
  • マイホームを売却した年、その前年以前3年以内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額について、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例を適用している場合
  • マイホームを売却した年の前年以前3年内における資産の譲渡について、マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算の特例を利用している場合

編集後記

ここまで見てきたように、住み替えでのマンション売却では

  • 黒字なら3000万円の特例で税金をゼロにするか、住宅ローン控除のお得な方を選ぶ
  • 赤字かつ5年以上居住なら損益通算で減税を受ける

という2つが基本方針です。

以下の2つの計算式に簡単に当てはめてシミュレーションしてみましょう。売買契約前なら売れそうな査定価格を入れるだけでも構いません。

  • 譲渡所得 = 売却代金 - (取得費 + 譲渡費用) - 特例による控除
  • 建物の取得価格 × 0.9 × 0.015 × 経過年数 = 減価償却費相当額

細かい数字を扱うのが得意で忍耐強い人は自分で確定申告にチャレンジしてもいいでしょう。しかし、特例を使うか住宅ローン控除を使うかで損をする可能性もあるので、個人の確定申告を扱っている税理士を探して、丸投げする方が安心です。

税理士さんなら特例の適用でミスをする心配もありません。


このページを含めて7本の記事で住み替えするときのマンション売却を解説しました。

売り先行・買い先行・売り買い同時進行の3パターンで分けて解説した部分が多かったので、あなたのケースに当てはまる部分をもう一度チェックしてみてください。

売却完了して確定申告が終わるまで、折に触れて読み返してもらえると作者として嬉しく思います。

また、不明な点があれば遠慮なくご連絡ください。

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