6.売却代金の受け取り(決済)と部屋の引き渡しは準備が大事

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売却代金の決済と部屋の引き渡し STEP6

売買契約が終わったら、しばらく日数を空けて売却代金の受け取り(決済)とマンションの部屋の引き渡しを同日に行います。

すでに転勤先に引っ越していれば、あまり日数を空けずに決済と引き渡しをしてもいいでしょう。いろいろな費用の日割り精算でもお得です。

このページでは同じ日に行う、転勤時のマンション売却での売却代金の受け取り(決済)引き渡しの2つを説明します。

売却代金の受け取り(決済)

決済では、売買契約の日に受け取った手付金を差し引いた売却代金を買主から受け取ります。

銀行振り込みで受け取るので、多額の現金を目にすることはありません。

決済と引き渡しは買主が住宅ローンを借りる銀行の応接室などで行われます。これは以下のことを連続で進めていくのに都合が良いからです。

  1. 買主が住宅ローンを借りる
  2. 売主に振り込む
  3. 売主が残っている住宅ローンを完済する
  4. 抵当権抹消登記と所有権変更登記を司法書士に依頼する

売却代金が買主の口座から売主の口座、さらに売主のあなたが住宅ローンを借りていた銀行へと移動していくイメージです。

登記関連の業務が発生するので、売主・買主・双方の仲介不動産会社担当のほかに司法書士も立ち会います。

また決済が終わると部屋の引き渡しも行います。

残っている住宅ローンの返済処理

住宅ローンを完済しないとマンションを売ることはできません。抵当権がついたままで買う人はいないのです。

しかし先に完済するほどの現金がある人も少ないので、中古マンション売買の現場では先に売却代金を受け取って、それを住宅ローン完済に充てる流れが確立されています。

もし売却代金が住宅ローン残債より安い場合は、自分で現金を用意して補填します。

決済で精算して返金を受けられるもの

決済ではいろいろな費用の精算を行います。売主が先に支払っていたもので買主が負担するべきものが返金されるのです。

売買契約で定めた以下のものが日割り計算で返金される可能性があります。決済の日の前日までがあなたの負担で、当日以降は買主の負担として計算します。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 管理費
  • 修繕積立金

管理費や修繕積立金は銀行引き落としされているのが、何月分かを確認して、引き落としを止められるタイミングも確認した上で精算しましょう。手続き上、引き渡し後の月末に引き落としがかかってしまう場合は、その精算まで先にしておきます。

管理会社によく確認しておいてください。

また買主からの精算ではありませんが、年払いしている火災保険料や地震保険料の返金も受けられる可能性があるので、引き渡しが終わったら忘れずに解約の連絡をしましょう。

電気、水道、ガス、電話、インターネット回線などは精算はありませんが、忘れずに解約してください。

部屋の引き渡し

決済が終わるとマンションの部屋の引き渡しです。

鍵や管理規約、設備のマニュアルなどマンションに関係するものを買主に渡します。

引き渡しは銀行で決済してそのままそこで行って終わりにすることもありますし、マンションまで移動して現場を見ながら行うこともあります。

引き渡し後、不動産会社への仲介手数料の支払い

決済と引き渡しが終わると不動産会社と協力してのマンション売却は完了となります。そこで媒介契約で定めた仲介手数料を支払うことになります。

仲介手数料の計算は「売却代金 × 3% + 6万円」に消費税を上乗せしたものです。

仮に3000万円でマンションが売れたら、96万円+消費税とおよそ100万円の仲介手数料を不動産会社に支払います。

これだけ払うのだから、不動産会社の担当には多少ワガママを言っても問題ないのです。

ちなみに「+ 6万円」の部分は売却代金が200万円以下と400万円以下の場合に3%より高い仲介手数料の設定となっているために、簡単に計算できるようにあとで足しています。

200万円以下は5%、200万から400万円以下は4%です。3%で計算すると200万円 × 2% = 4万円、200万円 × 1% = 2万円が不足するので、あとで「+ 6万円」とするのです。

決済と引き渡しまでの準備

売買契約を結んでから決済と引き渡しの日までにやっておくことをまとめました。

引っ越しして荷物とゴミをすべて部屋から引き払っておく

まず基本は部屋を空っぽにすることです。転勤先に引っ越していれば、それほど物は残っていないでしょう。

不要なものはゴミとして処分してください。

また、常識の範囲で引き渡し前に掃除を行っておきましょう。ハウスクリーニングまでは必要ありません。

各所に連絡を忘れずに行う

解約や売却の連絡を忘れずに行いましょう。不動産会社がやってくれる場合もあるので、よく担当に確認して動いてください。

  • 銀行(マンション売却と残代金繰り上げ返済の連絡)
  • 管理組合、管理会社(マンション売却での所有者変更と管理費や修繕積立金の引き落とし停止の連絡)
  • 水道、ガス、電気、電話、インターネット回線の解約・引っ越し

必要書類などを準備する

決済と引き渡しで必要になる以下の書類などを準備します。不動産会社の担当に指示されたものを基本として、他に必要そうなものは用意しておくといいでしょう。

  • 付属設備の取扱説明書(マニュアル)と保証書
  • マンションの図面
  • 鍵の準備(スペアキーなどを親や子どもに預けていないか要注意、不足があれば鍵交換が必要になる)
  • 実印と印鑑証明書
  • 通帳と銀行印
  • 運転免許証などの写真付き身分証明書
  • マンションの登記識別情報通知書(権利証)
  • 固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金の日割り精算の準備
  • マンションの管理規約(マンション理事会への売却の連絡も)
  • マンション購入時のパンフレット(持っていれば渡した方がベター)

決済と引き渡しは売買契約の2週間から1ヶ月程度空けた日が一般的

決済のタイミングは、売買契約の日から2週間から1ヶ月程度空けた日にするのが一般的です。売買契約後に引っ越しや荷物の運び出しをするためです。

しかし、転勤でのマンション売却の場合は、先に引っ越しが済んでいることも多いでしょう。その場合は決済と引き渡しの日をもっと早くしても構いません

売買契約を結ぶ前に買主に事情を説明して、交渉しておきましょう。

下で説明する固定資産税や水道光熱費、修繕積立金の日割り精算でも少しお得になります。

また決済と引き渡しは銀行を通じての入金や支払いが発生するので、平日の午前中に行われることが多く、仕事の調整をする必要があるかもしれません。

決済と引き渡し当日のタイムスケジュール

売却代金の決済と部屋の引き渡しの日のタイムスケジュールをざっと書いておきます。実際は手続きの順番が違ったり、時間がかかったりするかもしれませんので、あくまで参考として考えてください。

  1. 司法書士による登記書類の確認
  2. 買主の住宅ローン融資実行
  3. 買主からあなたの口座への売却代金の振り込み
  4. 住宅ローン残債の一括繰り上げ返済
  5. 固定資産税や管理費などの精算
  6. マンションの鍵や管理規約、各種取扱説明書の引き渡し
  7. 買主から引き渡し確認書を受け取る
  8. 不動産会社への仲介手数料支払い

決済と引き渡しで必要な登記手続き

決済と引き渡しの場面では、所有権移転登記と抵当権抹消登記の2種類の不動産登記が必要になります。

立ち会った司法書士にすべて委任するのが通常です。

所有権移転登記

マンションを売主のものから買主のものにするため、所有権移転登記を行います。

登記識別情報通知書(いわゆる権利証)がないとできないため、間違いなく用意しておきましょう。

所有権移転登記の費用は買主が負担します。

抵当権抹消登記

住宅ローンを完済して、マンションについた抵当権を外すために抵当権抹消登記も必要です。

抵当権抹消に必要な書類は住宅ローンを完済してはじめて銀行から受け取れるものもあるので要注意です。

抵当権抹消登記の費用は、売主のあなたが司法書士へ支払います。売主に関係する手続きなので費用負担は売主なのです。

司法書士の費用相場は依頼する人にもよりますが、登録免許税も含めて2万円以内には収まるでしょう。あまりに高額なら内訳を聞いて、司法書士の報酬が高すぎないか確認してください。司法書士を手配した不動産会社にクレームを入れてもいいでしょう。

決済と引き渡しでの注意点

まず第一に決済と引き渡しの日は手続きが多く時間がかかるので、体調を整えて臨みましょう。

決済と引き渡しそれぞれに分けて、注意点を挙げておきます。

決済の面での注意点

書類をきちんと準備する

もし書類の不足があれば、最悪の場合、予定していた日に決済と引き渡しができない可能性があります。

引っ越しの手配や賃貸の解約などで買主に不利益が出れば、費用負担を求められます。

登記関係の書類は特に注意して準備しましょう。

意外と危険なのは印鑑証明書です。決済日の段階で3ヶ月以内のものかきちんとチェックしてください。

決済の段階でのキャンセルはめったにない

決済の段階でキャンセルをすれば、引っ越しの予定などで多大な影響が出るため、ほとんどキャンセルする人はいません。

もしキャンセルされれば、手付金以外にも損害賠償を請求できる可能性があります。

逆に自分がキャンセルする場合も同様のリスクがあるので、注意しておきましょう。

買主が住宅ローンを借りられなくて契約が白紙に戻ってしまう可能性がある

売買契約と決済の期間の間で、もし買主の住宅ローン審査が通らなければ、住宅ローン特約によって契約自体がなかったことになってしまいます。

先走って決済に向けて進めていると驚くことになるかもしれません。

もし可能なら住宅ローン審査の進み具合について共有してもらえるように買主側の不動産会社に頼んでおきましょう。

仲介手数料の値下げ交渉はやめておこう

不動産会社に支払う仲介手数料を節約しようと値下げ交渉をするのはやめておきましょう。

基本的には上で説明した計算式(売却代金 × 3% + 6万円)が仲介手数料の上限として定められていて、そのままの手数料の会社が大多数です。

仲介手数料無料や半額といった会社もありますが、実現するには売買仲介をそれに最適化した形にしています。普通の不動産会社がいきなり値引きをすることはまずないと考えてください。

不動産会社の担当の心証を害するだけです。

引き渡しでの注意点

引き渡し完了までの危険負担のルール

中古マンションの売買では引き渡しが完了するまでは危険負担という考え方が適用されます。

これは売買契約から引き渡しまでの間に、地震や火災でマンションの部屋が損害を受けたら、売主がそのマイナスを負担するというルールです。

万一の事態ですが、可能性はゼロではありません。

何も起こらないように祈るしかないのがつらいところです。

引き渡し後のクレーム

引き渡し後に想定外のクレームが来るかもしれません。

そのときは落ち着いて、あなたの説明不足なのか、相手の無茶な要求なのかを判断して対応しましょう。

基本的には間に不動産会社に入ってもらえるように、買主とは連絡先を交換しない方がいいかもしれません。

内覧から購入申込、売買契約、決済と顔を合わせる場面で好印象を与えて「これくらいならいいかな」と思ってもらえるようにするのも大事です。

瑕疵担保責任

売主も買主も売却する段階では気づいていなかったような見えない瑕疵(かし:キズや不具合のこと)が引き渡し後に見つかったら、その修理費用はあなたが負担しなければいけません。

しかし、瑕疵担保責任の期間は売買契約書で定めているので、その期間内かをきちんと確認して対応しましょう。

万が一、引き渡しが遅れてしまう場合、契約解除の可能性もある

引き渡しがあなたのミスで遅れてしまったら、契約不履行で売買がなかったことになる可能性もあります。

相手に与えた損害も補償しなければいけません。

引っ越しの手配やゴミ処理などは余裕を持って終わらせておきましょう。

決済を代理人に任せられるか

転勤先に引っ越していれば、決済に行かなくてもよくならないか、代理人ではダメかと思うかもしれませんが、基本的には本人不在で決済と引き渡しはできません

まず書類の不備があったときに本人がいないと署名・捺印ができません。

また、司法書士は本人確認をする義務があるため、決済の場に本人がいないと手続きが進められません。

どうしても本人が行けない場合は配偶者に委任して手続きを進めることも可能ですが、司法書士の本人確認は必要となるため、転勤先までの出張費用や日当を支払って来てもらわなければいけません

出費がかさむことや手続きが煩雑になることをふまえて、なんとか都合をつけて本人が決済に行くことを検討してください。

編集後記

マンション売却代金の受け渡し(決済)と部屋の引き渡しについて、手続き上の細かいことが多いので長文になってしまいました。

しかし、必要書類の不備や確認ミスは本当に怖いので、省略することはできません。

実際は不動産会社の担当からの指示が中心となりますが、その指示とこのページの内容を合わせて、足りていないことがないか自分なりにチェックしてほしいと思います。

決済と引き渡しが終わったら、いったんマンション売却自体は終了ですが、翌年に確定申告をして税金関係の処理をしなければいけません。中古マンション売却には特例も多く、税金がゼロになったり、所得税と住民税が安くなったりする可能性もあります。

7.転勤でのマンション売却時の税金と確定申告は、黒字と赤字で使う特例を決める

7.転勤でのマンション売却時の税金と確定申告は、黒字と赤字で使う特例を決める
転勤でのマンション売却は築浅で売ることになることが多く、利益が出ることもあるかもしれません。しかし、少々の黒字でも3000万円の特別控除を使えば税金はゼロになります。また赤字の場合には、5年以上住んでいれば、所得税との損益通算ができ、税金の還付を受けられます。不動産売却時の税金は複雑なので、できれば税理士に依頼してミスなく進めてもらいましょう。
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