7.転勤でのマンション売却時の税金と確定申告は、黒字と赤字で使う特例を決める

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税金と確定申告 STEP7

中古マンションの売却は引き渡して終わりではありません。

売却の損益を確定申告して、税金関係の処理をしておきましょう。

転勤で住んでいたマンションを売却して利益が出ても3000万円の特別控除があるので、税金を払うことはほぼありません。

また5年以上住んでいたマンションで売却損があれば、所得税や住民税と通算して税金の還付を受けることも可能です。

黒字と赤字の2パターンでほとんど収まると思いますので、ここに絞って解説します。

不動産売却関連の税制は特例が多く複雑です。ここでは転勤でのマンション売却に関係するものに絞って詳しく解説し、一部の人だけが関係するような項目は紹介するだけにしています。

また税制は変更される可能性があるので、適用できそうな特例などは参考として掲載している国税庁のページを自分の眼で確認するようにしてください。

マンション売却後の確定申告は必須

「確定申告めんどくさいな~どうせ損してるし、未申告で大丈夫でしょ」と思うかもしれませんが、マンション売却後には必ず確定申告をしてください。

不動産売却は購入時の価格と売却時の価格だけで税金が決まるわけではありません。減価償却と言って、建物の価値が減ったことを考慮して計算しないといけないのです。

利益が出てないと思っていたら、減価償却してみたらプラスの可能性もあります。

また少々のプラスでも3000万円の特別控除を利用すれば税金はゼロになるのですが、これも確定申告をしないと利用できません。

5年以上住んでいたマンションならうまくいくと税金が安くなることもあります。

マンション売却後はかならず確定申告をすると覚えておいてください。

いつどこで確定申告をするか?→売却翌年の2月16日~3月15日に最寄りの税務署か確定申告コーナーで

確定申告の時期は毎年決まっています。2019年中のマンション売却なら、2020年の2月16日~3月15日に確定申告を行います。

確定申告の場所は、1月1日に住民票のある住所地の管轄の税務署です。確定申告の時期には専用の出張コーナーが設けられる自治体もあるので、訪問前によく調べておきましょう。

確定申告は税理士に依頼する方が安心

確定申告作業は税理士に依頼すれば、丸投げでやってもらえます。難しい書類に悩むことも混み合っている確定申告コーナーに出向く必要もありません。

また不動産売却特有の複雑な特例の利用も税理士さんなら慣れたものです。

10万円から20万円ほどの費用がかかってしまいますが、それ以上に節約になる可能性もあります。

もし自分で確定申告をするなら、このページの内容 + 国税庁の情報をしっかり理解できるまで読んで、税務署の確定申告相談に何度か通う覚悟が必要です。

参考)

マンション売却の確定申告時の計算方法

マンション売却後の確定申告では、以下の計算式で損益を出します。

譲渡所得 = 売却代金 - (取得費 + 譲渡費用) - 特例による控除

売却代金はそのままなので、経費として差し引ける取得費譲渡費用の2つを解説します。また譲渡所得に掛ける税率もここで見ておきましょう。

特例による控除については、あとで説明します。

取得費

マンション売却における取得費とは、マンションを最初に購入したときの費用のことです。

そこでかかった以下のお金が経費となるわけです。

  • マンション購入代金(※減価償却が必要)
  • 購入時に支払った仲介手数料
  • 印紙代
  • 登記費用
  • 不動産取得税

参考)

No.3252 取得費となるもの|国税庁

※減価償却

マンション購入代金がそのまま取得費として経費になるわけではありません。建物部分は毎年価値が減っていくと考えて、減価償却を計算する必要があります。

計算式は、

建物の取得価格 × 0.9 × 0.015 × 経過年数 = 減価償却費相当額

となっています。

例)5000万円で購入したマンションを10年後に売ると、

5000万円 × 0.9 × 0.015 × 10年 = 675万円

となり、経費となるのは5000万円 - 675万円 = 4325万円しか経費にはなりません。

参考)

No.3261 建物の取得費の計算|国税庁

ちなみに減価償却するのは建物部分だけで土地部分はそのままです。分譲マンションでも土地に相当する部分が持分として設定されています。

販売価格は土地と建物がセットにされているので分かりにくいのですが、消費税は建物にしかかからないので、そこから逆算する方法があります。

譲渡費用

譲渡費用は今回の売却に伴って支払った費用のことです。仲介手数料が高額になっているでしょう。

  • 売却時に払った仲介手数料
  • 印紙代
  • 登記費用

参考)

No.3255 譲渡費用となるもの|国税庁

税率は5年を境に長期譲渡所得と短期譲渡所得にわかれる

譲渡所得に掛ける税率には、居住期間が5年超の長期譲渡所得と5年以下の短期譲渡所得があります。

ちなみに5年の基準は1月1日時点で判断します。例えば、2016年7月に買ったマンションは5年後の2021年7月を過ぎてもまだ短期で、2022年1月以降に売却してはじめて長期譲渡所得となります。

  • 長期譲渡所得:所得税15.315%・住民税5%合計20.315%
  • 短期譲渡所得:所得税30.63%・住民税9%合計39.63%

このようにおよそ2倍の差があります。ちなみに現在所得税部分には復興特別消費税が2.1%上乗せされています(2037年まで)。

もし年末に売却活動を行っていて5年かどうかのタイミングなら、契約日を年明けにしてもらえないか買主と交渉しましょう。

また、10年以上居住していた場合は所得税10.21%・住民税4%になる軽減税率の特例もあります。

これらの税率を使うのは、利益が出ているとき限定なのであまり気にしなくても大丈夫です。

参考)

No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁
No.3211 短期譲渡所得の税額の計算|国税庁

【黒字】少々の利益はゼロにしてくれる3000万円の特別控除の特例

住んでいたマンションの売却に適用できる強力な特例が3000万円の特別控除です。

正式名称は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。

居住期間は関係なく、住んでいたマンション売却なら利用できるので、転勤でのマンション売却ならまず間違いなく適用可能です。

特例を受けるためには確定申告が必要です。譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用](PDF)という書類を添付します。

確定申告の計算で少しくらい黒字になっていても、そこから3000万円を差し引けば利益は残らないことが大半です。

「ちょっと儲かったかな」という人はこの特例で税金をゼロにするつもりで確定申告を行いましょう

参考)

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

利用できないパターン

以下のケースでは3000万円の特別控除は利用できないので注意してください。

  • 親子や夫婦、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などへの売却
  • 住まなくなってから3年を経過した年の12月31日までに売らなかった場合
  • 売った年の前年か前々年に3000万円の特別控除を利用している場合
  • 売った年の前年か前々年にマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例を利用している場合
  • 売った年、売った年の前年、前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けた場合

注意点

売買契約日の前日の時点で住民票に記載されている住所が売却したマンションでないと、戸籍などを提出しないといけないので要注意です。あまり早く住民票を移動させないようにしましょう

また、3000万円の特別控除を使ったら、売却した年、翌年、翌々年の3年間の家の購入には住宅ローン減税を利用できません

すぐに新しい家を買う予定があるなら、3000万円の特別控除と住宅ローン減税のどちらが得になるか計算して、利用する方を決める必要があります。

【赤字】売却で損が出たら譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例で減税を受ける

5年以上住んだマンションの売却でが出たら、給与所得や事業所得と通算して、税金を減らせる特例が「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。

5年の基準は1月1日時点で判断するので要注意です。長期譲渡所得と同じです。例えば、2016年7月に買ったマンションは5年後の2021年7月を過ぎてもまだダメ。2022年1月以降に売却してはじめてこの特例が使えます。

ちなみに売却価格が住宅ローン残債よりも安くないと利用できません。さらに上限は「住宅ローン残債 - マンション売却代金」です。

例)住宅ローン残債が3000万円で2000万円で売れたマンションがあれば、通算できるのは1000万円です。5000万円で買っていても1億円で買っていても関係ありません。

また1年で控除を使い切れない場合、最大3年繰り越して控除できます。

参考)

No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁

利用できないパターン

  • 親子や夫婦、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人などへの売却
  • 住まなくなってから3年を経過した年の12月31日までに売らなかった場合
  • 売却した年の1月1日における所有期間が5年を超えていない場合
  • 売買契約日の前日時点で住宅ローンが10年以上残っていること
  • 合計所得額が3000万円を超える年はその年のみ適用不可
  • マイホームを売却した年の前年及び前々年に次の特例を適用している場合
    居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例
    居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除
    特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
    特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
  • マイホームを売却した年の前年以前3年以内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額について、特定のマイホームの譲渡損失の損益通算の特例を適用している場合
  • マイホームを売却した年又はその年の前年以前3年内における資産の譲渡について、マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を利用している場合

その他に関係する可能性のある特例は3種類

以下の3つの特例は転勤でのマンション売却ではあまり関係ないと思いますので、概要だけ記載しておきます。

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

10年以上所有していた場合に長期譲渡所得がより安くなる。3000万円の特別控除と併用できる。

No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁

マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

売却の翌年末までに新たに住宅ローンを組んで家を購入した場合に利用できる。給与所得や事業所得と損益を通算して、税金の還付を受けられる。

すぐに家を買うケースで赤字の場合に使えるものです。

No.3370 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁

特定の居住用財産の買換えの特例

売却した翌年までに新たに住宅を購入する場合に、譲渡利益への課税を繰り延べられる制度です。

すぐに家を買うケースで黒字の場合に使えるものです。

No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁

編集後記

ここまで見てきたように、転勤でのマンション売却では

  • 黒字なら3000万円の特例で税金をゼロに
  • 赤字かつ5年以上居住なら損益通算で減税を

という2つが基本方針です。

以下の2つの計算式に簡単に当てはめてシミュレーションしてみましょう。売買契約前なら売れそうな査定価格を入れるだけでも構いません。

  • 譲渡所得 = 売却代金 - (取得費 + 譲渡費用) - 特例による控除
  • 建物の取得価格 × 0.9 × 0.015 × 経過年数 = 減価償却費相当額

細かい数字を扱うのが得意で忍耐強い人は自分で確定申告にチャレンジしてもいいでしょう。しかし、慣れない転勤先で忙しいなら近くで個人の確定申告を扱っている税理士を探して、丸投げする方が安心です。

税理士さんなら特例の適用でミスをする心配もありません。


このページを含めて7本の記事で転勤時のマンション売却を解説しました。

耳慣れない言葉も多かったと思いますが、転勤での売却場面で大事なことを漏らすことなく記載しています。

売却完了して確定申告が終わるまで、折に触れて読み返してもらえると作者として嬉しく思います。

また、不明な点があれば遠慮なくご連絡ください。

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